鼻先をかすめる少しひんやりした風に

かすかに金木犀の香りがふくまれていて

ああ秋だなあと立ち止まる

まわりを見回しても

花を咲かせた金木犀は見あたらず

この香りを

風がどこからか

運んできたことを知る

空気の質が透明感のあるものになり

目に映る景色が

だんだんと紅く染まりゆくこの季節

一コマ一コマが美しく

ゆっくり見逃さないでいたいと思う

自分の中心から

おだやかに眺め 感じる世界は

輝いて

どこまでも美しい