春の空気の中

色で 匂いで 形で

花たちはそれぞれに主張する

私たちは気づく

そこに花があること

命があること
風が吹き 雨が降り

花の命は短くて

一瞬のきらめきの中に

なにかしら揺さぶるものを残す 

私は気づいている

花が咲く前の固い蕾

枝の表皮を破り顔を出す柔らかい新芽

冷たい雨雪の土の下で

静かにときを待つ根

一瞬一瞬生まれている変化

あの日を思い出す

これからのことを思う

そうしているうちに
あっという間に花が咲き 散っていくならば

目の前に広がるものに
いま目の前にある生きとし生けるものに

愛のまなざしを